排泄・入浴

 いきなり転院早々排泄の話をするのも気が引けるが、ここのトイレは車椅子で入れる専用のトイレになっていた。

 私はリハビリパンツとオムツを交互に様子をみながら履いていたが、殆どリハビリパンツで普通のショーツと同様に用を足せるようになっていた。

 また、試験的にリハビリパンツから普通のショーツに変えたりして、それもこなせるようになっていた。だが、一応消灯前にトイレに行けば、夜中に催さずに済むという事である日消灯前にトイレに行ったのだが、夜中に催してしまい、ナースコールを押したのはいいが、間に合わず、看護婦が来た事で安心してしまい、漏らしてしまったのである。

 その際、ベッドを思い切り濡らしてしまい、シーツ交換になってしまったので、それ以来再度ショーツからオムツに変えられた。
 だがこういった事を繰り返すうちにコツをつかみ、自然にショーツで用を足せるようになっていった。

 入浴は週2回あったが、祝祭日にその曜日が当たってしまうと、その日は入浴出来なかった。

 入浴は時間になると看護婦が病室まで向えに来て、自分のロッカーにあらかじめ洗面器とバスタオルやシャンプー等必要な物を用意してあり、それを小さい入浴用のワゴンに乗せて浴室まで運ぶか、患者を車椅子に乗せて荷物を持たせるかしていた。

 一応入浴日の朝、その日の担当の看護婦が自分が受け持つ患者に「今日はお風呂は○時からだから、それまでに病室に戻っていて下さい」と朝の巡回の時に連絡してくれる。

 患者は一応その時間には病室に居るように努めるが、もしリハビリ等で間に合いそうにない場合やギリギリの場合は担当看護婦がリハビリ担当医に内線電話で追い出しをかけるか、直接リハビリルームにせかして迎えに来るかのどちらかである。

 こういう手順を踏んで入浴に移る訳だが、脱衣所に着くと大急ぎで服を脱がされ、浴室に入る。

 脱衣所に車椅子が入れるようになっているので、車椅子上で出来る事は(お風呂上りの際なので後述参照)そこで行う。

 浴室に入ると、正面に湯船があり、浴室の入り口から湯船辺りまでクレーンが設置されている。自分で全然動けない人の為のものらしい。興味深々で見つめては見たものの、少し心細かったので挑戦してみるのはやめておいた。

 頭部や体等の洗浄は専用の椅子に腰掛けて行う。
 頭部に湯を流す時は、「半則無視」といって左側が全く不自由になってしまった事に加えて、眼で見えていても頭で無視する障害があり、介助して流してもらっていた。

 湯船に浸かる際は補助用の手摺付きの蓋があり、その上に越しかけてから少しずつ湯に浸かった。
湯から出る時も同様の手順であった。

 これら一連の流れで入浴をすませると車椅子にバスタオルがかけてあって、椅子に腰掛けてから細部をふいていた。

 脱衣所にちゃんと手摺が付いており、そこに掴まってある程度水切りしてから左足、右足と着替え、最後に上を左手から着替えていた。(悪い方の手足を「患手」「患足」と言い、何を行うのもそちらから行うのが鉄則である。)

 着替えが終わると荷物をまとめて、急いで部屋に引き返す。
というのも脱衣所の外では次の入浴予定の患者が待っていて、少しモタついていると、とっとと入ってきて、服を脱ぎ始めたり、その人の担当看護婦がいきなり入ってきて荷物のセッティングを始めてしまうのである。

 お風呂から上がり、自分の部屋に戻ると後から看護婦が使用した物や洗い物等を部屋まで運んでくれて、部屋か洗面所でついでにドライヤーをかけてくれる。

 入浴や、ドライヤーの際に看護婦やルームメイトと話したりした事が楽しい思い出となり、現在の私の生活に無意識のうちに少なからず役に立っていると思う。

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