台湾居候記 7/8

 翌日の土曜日。先日中正記念堂で会った中国ゴマの先生、蔡さんから台湾の北端、基隆の中元節のお祭りに誘われ、台北から電車で基隆へ行くことに。台北駅で基隆行きの電車を探す。地下鉄と違って券売機がないので混んでいると乗り遅れてしまう。
 台北駅は首都のターミナルにふさわしい3階建ての建物で、地下鉄の駅、列車の駅、ショッピングモールが入っているが、そこは台湾、どこか抜けているのが常で、雨漏りが酷く夕立が来るとそこかしこにバケツが並ぶ。
 通勤電車で40分。終点の基隆へ。駅前は北の港町の風情を漂わせ、遠くにはフェリーの影も見える。古き良き、というのはこの国には似合わないが、少し昔の台湾の町の雰囲気を残しているように思えた。
 約束の時刻になっても現れない蔡さんを待って駅前に立ちんぼしていると、制服を着た兵士が何人も通り過ぎる。「台北では見たことがなかったけれど、なぜ?」と峻榮氏に訊くと、「観光客に危険な国というイメージを与えないためということもあるし...」とのこと。
 この後遅れること数十分。蔡さんが登場。訊けば台湾では待ち合わせで女の子が遅れてくることは常識なのだそうで、それを待てない男はいけないのだそうな。台湾の男が弱いのか、女が強いのか...
 当然ながら歩いていても峻榮氏と彼女の二人だけで話が弾んでいて面白くないので、前から二人仲良く歩いているところを撮ろうと思ったら、峻榮氏に逃げられてしまった。基隆駅前のアーケード。
 基隆の商店街。台湾にはどこの町に行ってもこういった屋台街があるらしい。つまみ食いをしながら奥の道教の寺へ。そこでは跪いたりせずに、お決まりのやたら長い線香を持って頭をたれ、線香を三回ほど前後に振って香炉に立てるだけだった。道教のお寺の方が仏教のそれに比べて庶民的で親しみやすい。
 寺を出てすぐのところにある、名物のごった煮を頂く。イカやらなにやらが鍋の底に付いたゼラチン質までこそぎ取ってあるスープで、色々な味や感触が楽しめる上に、他の台湾料理のように味がきつくないのでこれは日本人にお勧め。
 ここまでで既に五軒ほどの店を周り、最後は豆花で締めて、今日の祭の主役の寺へ。高台に建っていて、基隆の町が一望できる。
 お寺に行くと大音量で「南無阿弥陀仏」と念仏が唱えられていたが、何度聞いても「ばばあにな〜れ〜」と云っているようにしか聞こえなかった。
 この後出店の輪投げで蔡さんに、「キティちゃんの人形が欲しい」とせがまれ男二人で奮闘するも、散財するのみ。
 この灯籠は上が閉じていて、気球のように飛んでいくようになっている。外側に貼られた紙には願い事が書いてあって、気球が高く上がればあがるほどその願いは成就するとのこと。しかもこの気球には爆竹がぶら下げられていて、空へと上がる途中で次々爆発していく。こんなものが何個も上げられていくのだから危ないのではないかと思うのだが、この地においてはそのような心配は杞憂。
 終電がなくなってしまったので、帰りは二人寂しく高速バスで台北へ。
 翌日、太極拳の試合があるとのことで、林さんの車で板橋市の体育館へ。
 『工事中』の標識だが、ヘルメットでなく笠というのが面白い。
 お互い自分の足の位置を変えずに相手を倒すという競技。先生は審査員をしていた。
 会場の片隅では賞状の作製。中華民国の青天白日旗も賞状には欠かせない。
 試合見物の帰り。信号が赤になって車が止まると、物売りがやってくる。強引にチラシを放り込んでなんてこともあった。